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内田樹の研究室から  [スズムシ日記]

難しすぎる?

 

 「難しすぎる」とは何か?というブログは115日にアップされたものです。『転換期を生きる君たちへ』(各界の識者による論集形式のもの。内田さんが編者)が出版されたのだが、都内の公立中学校の先生から晶文社の編集者に手紙がとどいたのだそうです。それによると、よい本なので購入して、学校図書館に陳列したのだが、だれも読むものが現れない。そこで仕方なく、生徒会長、生徒会役員、学級委員の三名の男子生徒(全員二年生)に順番に読んでもらったところ、彼らは難しすぎるとのことだったと……。

 それで、内田さんはほとほと悩みもして、表記のブログをしたためることになったのだそうだ。

 このブログも長文で、途中で頓挫しそうな方も頻出するのじゃないかと思うのだが、「難しい」と同様に「長すぎる」も嫌われることは百も承知で内田さんは自説を述べておられる。全文をお読みになりたければブログを訪れてほしい。

 さて、その文章のなかで、これはとっても「すごくて」「いい」と思う、学校論が述べられている。おいらもそんな学校をめざしてもいたが、徒労におわったように思い、忸怩たるものがあるのだが、以下の内田さんの論を是非とも読んでほしいと思う。

 『この世に「最低の学校」というのがあるとすれば、それは教員全員が同じ教育理念を信じ、同じ教育方法で、同じ教育目標のために授業をしている学校だと思います(独裁者が支配している国の学校はたぶんそういうものになるでしょう)。でも、そういう学校からは「よきもの」は何も生まれません。これは断言できます。とりあえず、僕は、そんな学校に入れられたら、すぐに病気になってしまうでしょう(病気になる前に、窓を破っても、床に穴を掘っても、脱走するとは思いますが)。僕はそういう「閉所的」な空間に耐えることができません。どんな場所であれ、そこで公式に信じられていることに対して「それ、違うような気がするんですけど」という意思表示ができる権利が確保されていること、それが僕にとっては、呼吸して、生きていけるぎりぎり唯一の条件です。

 勘違いしないで欲しいのですが、「僕の言うことが正しい」と認めて欲しいわけではないのです。僕が間違っている可能性だってある(だってあるどころかたいていの場合、僕は間違っています)。それでも、みんなが信じている公式見解に対して、「あの、それ、違うような気がするんですけど」と言う権利だけは保証して欲しい。「僕が正しい」とみんなに認めて欲しいのと違うのです。ただ、正しい意見に対して、「それは違うと思う」と言っても処罰されない保証を求めている、それだけです。

 教師も生徒も、全員が同じ正しさを信じていて(信じることを強いられていて)、異論の余地が許されていない学校は、知的な生産性という点から言うと、最低の場所になるでしょう。そういう学校から、多様な個性や可能性を備えた若者たちが次々と輩出してくるということは決してないと僕は思います。というのは、知的な生産性というのは「正しい/間違っている」という二項対立とは別のレベルの出来事だからです。

 ほんとうに新しいもの、ブレークスルーをもたらすものは、いつだって「思いがけないもの」です。そんなものが存在するとは誰も思っていなかったものです。それが、そんなところから何かが生まれなんて誰も思ってもいなかった場所から生まれ出てくる。そういうものなんです。いつだって、そうなんです。ほんとうに新しいものは、思いもかけないところから生まれてくる。

 ですから、知的生産性という点からすると(もう三回目ですけれど、実は僕はこの言葉があまり好きじゃないんです・・・)、学校が多産であるためには、「そんなところから何か価値あるものが生まれて来るとは誰も予測していなかった場所」がたくさんあることが必要だということです。薄暗がりとか、用途のわからない隙間とか、A地点からB地点にゆく場合の最短ルートとは別の迂回ルートとか、坐り込んだら気分よくて立てなくなってしまうソファーとか、意味もなく美しい中庭とか・・・そういう「何の役に立つのかよくわからないもの」たちが群生しているのが知的空間としては極上だと僕は思います。これは僕が長く生きてきて得た経験的確信です。』

  どうでしたか?深い学びを標榜する新しい指導要領が30年からスタートする。どうも内田さんのいう学校はもう出現することすら難しいのではと思うスズムシでした。(卒業式前の超多忙な先生方は25日過ぎにゆっくりかみしめてくださいね、



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異常な長期拘留  [スズムシ日記]

5ヶ月も留置場に拘留。証拠隠滅のおそれがあるとの理由で。でも、これは安倍政権の見せしめ的踏み絵の状態。辺野古移設反対運動のリーダーを拘束したのだ。沖縄の人々は一層憤るだろう。傍観のスズムシで申し訳ない。記事をせめて掲載しよう!

辺野古移転 反対派リーダー、一部否認 5カ月勾留後、初公判 公務執行妨害など 
毎日新聞2017317日 東京夕刊

 沖縄の反基地運動のリーダーで、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設などに抗議する活動を巡って威力業務妨害罪などに問われた沖縄平和運動センター議長、山城博治被告(64)ら3人は17日、那覇地裁(潮海二郎裁判長)であった初公判で、米軍基地内の有刺鉄線を切断したとされる器物損壊罪は認めたが、その他2件の起訴内容については否認して無罪を主張した。

 山城被告は、米軍基地のゲート前にコンクリートブロックを積み上げたとされる威力業務妨害罪について「抗議行動の一つで正当な表現行為だ」として否認。防衛省沖縄防衛局職員にけがをさせたとされる公務執行妨害と傷害の罪についても「職員の行為は正当な公務性を欠き、止めようとしただけだ。傷害を与える行為をした事実もない」と主張した。

 そのうえで「私は5カ月にわたって長期勾留を強いられてきた。異常な隔離であり、不当な弾圧だ。沖縄の反戦運動は今後ともさらに力強く展開していくし、闘いは不滅だ」と述べた。

 山城被告と共謀したとして威力業務妨害罪に問われた66歳の男と、公務執行妨害と傷害の罪に問われた44歳の男も起訴内容を否認した。

国際団体が批判

 山城被告が最初に逮捕されたのは昨年1017日。勾留は約5カ月間に及び、国際人権団体などから批判が相次いできた。刑事法学者のグループが「不当に長い拘禁」と批判する「緊急声明」を発表した他、作家の落合恵子さんや鎌田慧さんらも早期釈放を求めている。さらに国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、2015年に悪性リンパ腫で入院した山城被告の健康状態を懸念し、早期釈放を呼び掛けている。

 この間、弁護側は保釈を求めてきたが、那覇地裁は「証拠隠滅の恐れがある」と却下し、最高裁への特別抗告も2度退けられた。

 元東京高裁部統括判事の木谷明弁護士は「比較的軽微な犯罪で証拠隠滅の可能性は乏しい。もし心配なら条件付きで保釈すればいい。長期の勾留は適切ではなく『反対運動をつぶすためだ』との見方をされても反論できないのではないか」と話す。


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熱血与良政談 毎日夕刊連載 [スズムシ日記]

17315日毎日夕刊 昭恵夫人という印籠

 学校法人「森友学園」をめぐるこれまでの国会質疑で一番印象に残ったのは、安倍晋三首相が声を荒らげて反論した次の答弁だった。

 「(役人が)忖度(そんたく)した事実がないのに、(あると)言うのは典型的な印象操作だ」「名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠(いんろう)みたいに恐れ入りましたとなるはずがない」

 学園が新設を目指していた小学校の名誉校長に、首相夫人・昭恵氏が就任していたのはご承知の通りだ。問題発覚後辞任したが、民進党の福山哲郎氏は昭恵氏が名を連ねていたことが異例の手続きに影響したのではないかと尋ねた。それに対して首相は水戸黄門の印籠のような力=威光はないと答えたのだった。

 政治家が口利きしていなかったかどうかはなお分からない。だが、仮にそうでなかったとしても、学園側が首相と昭恵氏の名前を利用しようとしていたのは確かだろう。近畿財務局をはじめ役所の担当者たちはまず「面倒な案件が持ち込まれた」と考えたのではないだろうか。

 そこで、こうも考えるかもしれない。もしかすると学園は実際、首相と信条が近いのではないか。ならば早く処理して手放した方がいい。あるいは首相に恩を売ることができるかもしれない--。役人側がそんな忖度をいくつも重ね、今回の手続きを通してしまった結果だとしたら、それも極めて深刻な事態だと思う。

 安倍首相は「1強」状態で、長く政権が続く可能性がある。その首相夫妻の名前が「印籠になるわけがない」と首相が考えているのなら、認識が甘く、責任逃れだろう。

 この問題は先月上旬、小学校予定地(国有地)の売却価格を地元の大阪府豊中市議が公表させ、異例の格安価格が明らかになったことから初めて明るみに出た。

 それがなければ、これまた今、世間を驚かせている学園の教育方針に基づいた小学校が4月に大手を振って開校し、昭恵氏も名誉校長を続けていたのではないか。そんな時代になっていることが危ないのだ。

 自民党の中には、学園が小学校の設置認可申請を取り下げ、籠池泰典氏が理事長辞任を表明したことで「これで国会に参考人招致する必要はなくなった」という声がある。とんでもない。まだ何も解明されていないのである。

スズムシ:与良さんの論調に与する。財務局の挙動が絵に描いたようにイメージできる。それが与良さんの言葉の強みだし、政治にかかわってきたマスコミ人の真骨頂だ。トランプに抗っているアメリカのマスコミと同様のことだ。めげずにどしどし主張してほしい。できれば与良さんの政談は1面に記載されることがホントは大事なんだけれどね。今は2面の脇にひそやかに記載されている。毎日新聞の限界とも言える。与良さんは専門編集委員という肩書きだ。


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内田樹の研究室から [スズムシ日記]

内田さんは定期的にルモンドの記事をブログに記載する。それをオイラも追認する。ルモンドはフランス語で刃が立たないので、内田さんを頼るしかない。フランス人がどのように日本の世情を読みとっているのか。が分かる。だからオイラは非常に愉快になる。今回も安部に手厳しいのがいい。

ル・モンドの記事から(森友学園問題)

2月27日のLe Monde が森友学園と安倍総理の関係について報じた。どのよう形容容詞が用いられているか、注意して読んで欲しい。

ナショナリスト的逸脱(dérive nationaliste)と不都合な便宜供与がいりまじった一つの事件が日本の総理大臣安倍晋三の足元を脅かしている。話題になっているのは4月1日開校予定の大阪の私立「瑞穂の国記念」小学校である。
2月27日、当局はこの施設の建設工事についての調査を行った。この施設は学校法人森友学園が開学する「日本で最初で唯一の神道小学校」である。神道は日本起源の宗教である。
森友学園は2016年6月に国土省から一区画の土地を1億3400万円で購入したが、これは現地の地価の七分の1である。国土相はこの土地が9億5600万円と価格査定されていたことを認めている。この値引きが行われたのは、廃棄物の除去と、微量のヒ素や鉛を含む土壌の除染が必要だったからである。しかし、野党によると、取り出されたのは廃棄物のごく一部であった。残りは現場に埋め戻され、森友学園は除去工事のために1億円しか支出していない可能性がある。当局はこの交渉についての記録は保存されていないと述べている。
総理大臣とその妻昭恵はこのプロジェクトに深いかかわりを有している。安倍夫人はこの小学校の名誉校長であるが、彼女の名前と写真は学校のインターネットサイトからはすでに削除されている。また彼女が生徒たちに向けて書いたメッセージ、彼らが「明日の日本の指導者になる」という文言も削除された。学園は「安倍晋三」の名を学校につけることを求めていたが、本人の依頼によって断念したとされている。
「もし、私の妻や私がこの取引に関与していたことが明らかにされたら、私は総理大臣も国会議員も辞職する」と安倍晋三は2月18日に言明した。だが、それでも事態は沈静しなかった。
2015年9月4日、安倍夫人は同じ学校法人が経営する大阪の幼稚園を訪れている。子供たちが毎朝日本を称える歌を歌い、教育勅語(1890年に制定され、1945年まですべての学校で毎年何度も朗読されたテクスト)を朗読することを彼女は大いに喜んだ。この勅語は「帝国の偉大さ」を称え、「必要なときには国家のために身命を捧げること」を命じたものである。
森友学園のプロジェクトは防衛相稲田朋美と日本会議からの支援を得ている。日本会議は影響力を持つ超国家主義的(ultranationaliste)復古主義的(traditionaliste)な組織で、その会員には総理大臣も森友学園の理事長籠池靖憲も含まれている。
この近接性は極端なナショナリスト出自(issu de la frange nationaliste)の安倍氏が現在の学校教育が過剰にリベラルであり、歴史問題について「自虐的」であることをつねにはげしく批判していることと符合する。彼は第二次世界大戦中の日本の権力濫用についての記述を歴史教科書から減らすように主張し続けてきた。
森友学園のねらいは「世界一純粋な国」日本の子どもたちの「愛国心と誇りを涵養する」ことにあり、そこには排外主義(xénophobie)的傾向が濃厚である。テレビは運動会の開会式での幼稚園児たちの宣誓の場面を収録したビデオ映像を放送したが、その宣誓の言葉には、「日本を迫害する」中国と韓国に対する言及があった。子どもたちはまた総理大臣と彼の安全保障政策に対しても「安倍総理、がんばれ」との声援を送っていた。



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学校と私 毎日新聞連載 [スズムシ日記]

本日 2本目の投稿 アップしたい記事がやたらあるわけじゃない。でも本日は朝日と毎日にひとつづつあった。これからアップするのは 前田吟さんの来歴。貧しくて哀しくて愛しくなるね。吟さんよ!みんなそうだった。多くはね。敗戦前後生れはね。
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落着いて勉強したかった。

 戦中の生まれです。母はシングルマザーで、生まれてすぐに前田家に養子としてもらわれました。でも、養母は4歳のころ、養父は中学2年になる直前に亡くなり、行くところがなくなってしまってね。義務教育だけはなんとか終わらせようと、前田の親戚のおじさんに預けられました。

  山奥の開拓村でランプの生活でしたが、勉強すると成績が上がってね。男の中で1番になることもありました。おじさんは中卒で働かせるわけにはいかないって、実母の親類に交渉してくれました。それで実母の姉のところに預けられて山口県立防府高校に進学したけど、1年で中退して、独り大阪へ出たんです。

 俳優になりたいという気持ちは小学校6年の時に芽生えました。学芸会で西遊記の沙悟浄を演じた時、担任の先生がほめてくれたんです。周りは棒読みでしょ。「俺が一番うまいな」って自分でも思っていましたね(笑い)。先生が「俳優になりなさい」と言ってくれた。それから雑誌で田中絹代さんや三船敏郎さんの手記を読んだりして。実家が貧しかったり両親がいなかったりという俳優さん、意外と多かった。これはもう俳優以外ないなと思いました。

 大阪では働きながら、夜は演劇学校へ行きました。その時、新国劇を作られた倉橋仙太郎さんに出会いました。本読みや踊り、剣劇を指導してもらってね。東京に俳優座という養成所があるからそこへ行くよう説得されました。「そこを出れば、食べていけるよ」ってね。演劇学校に入るには高卒が条件だったから、通信制の高校に入り直したんですよ。良い先生と出会いましたね。親や親戚もいなくて先生に助けられて生きてきました。

 実はコンプレックスがあるの、学校に。落ち着いて勉強したり、遠足行ったり、運動会やったりという記憶がなくてね。小学校4、5年のころから常にお手伝いをしていて、放課後は牛乳配達や新聞配達に行くから「早く終わんないかな」って思ってたんですよ。配達のあとは海にアサリを取りにいったりね。だから、今の子どもたちにはのびのびと勉強して、友達作って、遊んで、自由にしてほしいよね。それだけだね。

 まえだぎん:1944年山口県生まれ。劇団俳優座養成所15期卒業。主な出演作に映画「男はつらいよ」シリーズ。最新作「3月のライオン」は18日から前編、4月22日から後編が公開される。


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天声人語 [スズムシ日記]

昆虫写真家の目 天声人語 17年3月13日付朝日朝刊    

 久しぶりの投稿です。
 トランプや大阪私学とかサウジの王様がやってきたとか朴大統領が罷免されたとか、世の中慌ただしい。教育勅語を一斉に発声する幼稚園はすごい。大阪はもっとすごい。天変地異が起こっているようだ。
さて、このたびの天声人語は虫のことだ。
近頃学校に虫がいなくなった?先生が嫌いなんですって。そいうえば、今から10年まえ、僕も教師だったころのこと。夏休みに日直で各教室を巡回して、異常がないか見て回っていた。水槽はもう水が腐って、あえなくザリガニがお陀仏だったり、干からびた植物が目立つようになった。
今はどうなんだろう。天声人語も現代の風潮を伝えている。ああ、そうなんだと思う。よくよく読んで見なさい!
そして学校の先生猛反省しなさい。

 アリの巣には一定の割合で働かないアリがいるとは聞いたことがある。しかし、ここまで何もしないアリの種類があるとは知らなかった。日本各地にいるサムライアリは、別の種類のアリの巣を乗っ取って働かせる。エサを集めさせ、口移しで食べさせてもらう。
 働き手が不足すると、よその巣から卵や幼虫をさらってくる。昆虫写真家、山口進さん(69)の新著『珍奇な昆虫』には、虫たちがつくる「社会」が数多く描かれている。一方的に利用する関係もあれば助け合いもある。
 蝶(ちょう)の一種クロシジミの幼虫は体から甘い汁を出してアリに与え、アリの巣で養ってもらう。「虫と虫の関係は様々。何だか人間と似ているでしょう」と山口さんは言う。共生をテーマに虫たちを追い、居住する山梨県そして世界を飛び回ってきた。
 昆虫から始まり、関心は広がる。どの虫とどの植物の関係が深いのか。農業が虫にどう影響するのか。最近はトンボのアキアカネが育ちやすい伝統的な田んぼづくりに魅せられ、新潟県に足を運ぶ。
 約40年にわたり「ジャポニカ学習帳」の表紙を飾ってきた虫や花の写真も、山口さんの作品である。しかしここ数年は「気持ち悪い」という声に押され、虫の写真はなくなった。一部の復刻版を除き、花だけである。
 「子どもは虫が好きだと思う。でも先生や親に苦手な人が増えているのでしょう」と残念そうだ。昆虫を入り口に、自然や科学へと目が開かれる。そんな道はこれから細くなってしまうのだろうか。


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茂木さんのブログから [スズムシ日記]

俯瞰と接近
ブリューゲルのことが書いてある。昔大きな魚が小さな魚を食うをこどもたちに鑑賞してもらって、絵を描いてもらったことがある。おぞましい心象風景がいくつか仕上がった。茂木さんはどんな心象がうかびあまるのだろうか?もしゃもしゃ頭は絵本の主人公にもなっているね。
さてと
それじゃあいってみようか。

大学生の頃、部屋にピーテル・ブリューゲルの『子どもの遊び』のポスターが張ってあった。随分大きなもので、壁の面積をだいぶとっていたように思う。

 勉強の合間などに、時々顔を見上げて眺めた。いくら見つめていても、飽きることがなかった。輪を転がして遊ぶ者。川の近くで、スカートを広げて座る女の子たち。樽に乗る少年。お手玉をする人。袋のようなものを膨らませる女。自分の足に手をからませて、世界から背を向けるように座っている男。逆立ちする人物。スイカ割りのような遊びに興ずる一群。 

 すべての仕草の意味がわかるわけではない。込められた寓意が読み取れるのでもない。それでも、ただただ面白くて、眺めていると時の経つのを忘れた。

 ペートル・ブリューゲルは私の最も愛する画家の一人で、美術館などで作品に出会うとずっとその前に立っている。そして、自分の部屋で『子どもの遊び』を見ていた時と同じように、飽きずに眺めている。時が許す限り、いつまでも経っている。なぜ、ブリューゲルの絵にそれほど惹き付けられるのかと思う。

 「俯瞰と接近」が鍵だと気付いたのは、脳の研究を始めてからのことである。ブリューゲルの絵においては、さまざまなものが「俯瞰」されている。例えば、『雪中の狩人』。


 犬たちを引き連れて、狩りに出かける男たち。犬の群れを先導している三人の人物が絵の中心であることはもちろんだが、同時に、さまざまなものが並列して見えている。男たちの背景では、たき火をしている。遠景の氷上では、スケートをしたり、ホッケーのようなこと、カーリングのようなこと、思い思いに遊ぶ人たちがいる。空には鳥が飛んでいる。木の枝に止まっている鳥もいる。これらすべてのものが、『雪中の狩人』では「俯瞰」されている。

 その一方で、絵を見るものは一つひとつのものにいつの間にか「接近」している。ブリューゲルの絵の最も驚くべき性質の一つは、画面の中の誰にでも「感情移入」することができることである。「私」は、一番右側にいる狩人かもしれない。スケートをしている赤いスカートの女かもしれない。遠景の氷上でスティックのようなものを振るう男であったかもしれない。

 それどころか、人間である必要すらない。「私」は、尻尾を巻いてトボトボと歩く犬だったかもしれない。あるいは、大空を舞う鳥だったかもしれない。絵の中に描かれた一つひとつのものに「接近」し、それを自分に置き換えることができる。そのような特徴がブリューゲルの絵にはあるのである。

 「俯瞰」と「接近」。相反するように思えるアプローチが一つの絵に共存する。ここに、ブリューゲルの芸術の重大な秘密がある。一人ひとりが、大切な存在として尊重される。かといって、特定の立場にとらわれてしまうのではない。すべてを見つつ、一人ひとりの立場にも寄り添う。そのような「奇跡」が、ブリューゲルの絵にはある。

 「俯瞰」と「接近」がもっとも高度な形で表れているのが、『十字架を運ぶキリスト』。キリストが、自らが磔される十字架を運んでいる。救世主の受難。通常の宗教画の文法ならば、キリストだけをクローズアップする。しかし、ブリューゲルにおいては、すべての人が平等に俯瞰されている。それでいて、作者や見る者の目が、キリストその人に「接近」していることは疑う余地がない。

 『十字架を運ぶキリスト』を一つの頂点とする、俯瞰と接近の共鳴。ブリューゲルの絵は、人間と世界の関係についての何か重大な真実を私たちに伝えている。
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渾沌たる世界を問う 5 [スズムシ日記]

政府不信の背景探れ 

カレル・バン・ウォルフレン氏(ジャーナリスト、アムステルダム大名誉教授)

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 ドナルド・トランプ次期米大統領を支える主要ポストが固まったが、今後については「分からない」に尽きる。ただトランプがさまざまなことを劇的に変えたいと思っていることだけは確かだ。2017年は第二次世界大戦後の現代史の転換点となるかもしれない。ソ連の崩壊(1991年)、米同時多発テロ(01年)など過去の転換点では、世界での米国の役割が重要だった。その後、米国の地位は後退し続けており、今後もその傾向は変わらないだろう。

 大統領選の両候補はまったく魅力的ではなかった。そも米露関係の観点からはトランプが勝ったことは良かったと思っている。米国、欧州そして日本にとってもロシアとの対立から生まれるものは何もない。ヒラリー・クリントン前国務長官が勝利していれば、ロシアとの対立はさらに深まっていた。

 欧州も主要国で国政選挙を迎える。ポピュリズムという言葉が多用され、欧州の政治家やメディアのエリートたちは非合理的な熱狂であるとみなしている。人々が抱える不満の根本的な要因から目をそらしたいのかもしれないが、背景にある深い意味を探ることは欧州の将来を理解するために不可欠だ。

 例えばオランダでは生活水準が徐々に低下している。かつてうまく回っていた医療や高齢者介護の制度も向上していない。小さな不満の積み重ねで政府を信頼できないという感情が高まり、人々と政府の乖離が広がっている。

 欧州各国に共通することだが、中間層以下にとっては一握りの層が自分たちの生活を脅かしていると映る。声を上げることはなくても肌で感じているのだ。

 ではこの状況は欧州にとっての脅威なのか。欧州が崩壊するかのような言説があるが、その根拠は薄弱だ。確かにEUも共通通貨ユーロも構想時の理想通りには進んでいない。だからといって元の体制に戻るのか? 戻りたい国などない。離脱を決めた英国も強硬な離脱を実現するとは私には思えない。

 一方で現在の欧州の指導者たちは、(戦後の独仏関係を修復した)ドゴール元仏大統領やアデナウアー元西独首相など過去の卓越した政治家と比べて深い洞察や想像力、指導力もなければ戦争の経験もない。現状をうまく切り抜けられるかといえば、悲観せざるを得ない。【聞き手・ブリュッセルで八田浩輔】

人物略歴 Karel van Wolferen 1941年オランダ生まれ。72年からオランダ紙の東アジア特派員を務め、東京を拠点に80年代には日本外国特派員協会会長も務めた。「人間を幸福にしない日本というシステム」など日本に関する著書も多い。アムステルダム大名誉教授。


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混沌たる世界を問う 4 [スズムシ日記]

「米国第一」にくさびを 

日本総合研究所国際戦略研究所理事長・田中均氏

 第二次世界大戦後、いくつかあった大きな変動の一つだと思う。東西冷戦、その後の米国一極体制から続く大きな流れの中で、反グローバリゼーションが加速している。

 グローバリゼーションは、世界的に見れば新興国の国力を上げて所得を平準化した側面があるが、先進国内で見れば富の格差が顕在化した。

 そういった国民の不満を政治権力につなげていくのがポピュリズム。欧州ではBREXIT(英国の欧州連合離脱)や右翼勢力台頭の背景となった。そうした反グローバリゼーションの変動は米国のトランプ大統領誕生によってさらに加速されると思う。

 一方で、現実の国際関係や経済への影響を考えたとき、反省や揺り戻しもあるかもしれない。ポピュリズムというのは国内政策の延長であり、まず国内が第一。トランプ現象も米国第一。BREXITも英国第一。ロシアや中国はもともと自国第一。それが前面に出たときには当然、ぶつかり合う。これからの国際秩序がポピュリズム対ポピュリズムのぶつかり合いになっていくのか、よく監視しなければならない。

 トランプ政権がどうなっていくかが日本にも著しく影響を与える。中国や北朝鮮など体制が異なる国との関係では、民主主義、国際協調主義といった普遍的な価値を尊重する我々に大きな分があったわけだが、トランプ政権では「価値より利益」「理念より取引」となって、それが希薄になる可能性がある。

 外交のリアリズムというのは、国益重視であっても、国際協調主義を旨としなければならない。

 米軍の前方展開政策というのは地域の平和を抑止力によって保ち、中長期的な米国の国益に資する。在日米軍は日本を守っているのだから駐留経費は全額、日本が払うべきだという短絡的な議論がまかり通ってはならない。米国の雇用をどれだけ増やすかという観点だけでは、中長期的に自由貿易を進めることで各国の競争力を効率的に高めていく従来の貿易政策と相いれない。

 米国が独りよがりな自国中心主義に陥らないように、日本は日本としての考え方を伝え、米国の考え方を修正していくことも必要になるのではないか。

アジア関係をテコに

 安倍晋三首相は統治経験も長く、極端な外交政策をとらない安心感がある。当初は過去の歴史問題を巡って近隣諸国との関係が深刻になるのではないかと懸念されたが、現実的な国際協調主義、中長期的な国益の観点から修正してきた。

 ただ、トランプ政権は従来のように同盟を第一に考える米政権ではないかもしれない。米国に修正を求めていくためにはテコを持たなければならない。それはアジアとの関係だと思う。

 近年、アジアの国々が日本を見る目が熱くなっている。米国は本当に信頼できるのかという思いが東南アジア諸国にあることは、フィリピンやインドネシアの行動を見れば明らかだ。戦後の日本が一貫して築いてきた協力関係が米国以上の信頼感を生んでいる。

 アベノミクスも近隣諸国との経済関係が基本にある。最大の貿易先は中国であり、中国との関係抜きでは考えられない。もちろん、中国の覇権を日本が認めることはあり得ないし、安全保障体制を強化していく必要もある。だが、それだけで日本の安全が担保されるわけではない。

 これまでは、対米関係を強化すれば他の国との関係もついてきたし、それが中国のより侵略的な行動を抑止するテコになったことも間違いない。その米国にトランプ政権ができるという現実と、その背景にある国際秩序の変動を認識し、日本自らの中長期的な国益に資する外交戦略を練り直していく必要がある。

 最近の日本外交は東南アジア諸国との関係もロシアとの関係も「中国をけん制するため」という観点ばかりで語られる。極めてマイナスだと思う。中国と共存していくため、軍事的な信頼醸成、貿易・投資の枠組み、環境政策など協力分野を積極的に拡大していく。日本が中国との関係で明確な方針を示し、アジアとの関係をより緊密にすることが、米国を建設的な軌道に乗せるテコになる。

 日本はかつてポピュリズムのなれの果てで戦争した。その反省から戦後は民主主義という普遍的価値に忠実に生き、平和主義に基づく国際協調主義を外交の柱としてきた。この原則を忘れず、アジアでその役割を果たすことが日本の力を高め、ポピュリズムにくさびを打ち込むことにもなる。【聞き手・平田崇浩】


■人物略歴 たなか・ひとし

 1947年生まれ。京都大法卒。外務省アジア大洋州局長、外務審議官などを経て2005年退官。10年より現職。日本国際交流センターシニア・フェロー、東京大公共政策大学院客員教授を兼務。著書に「外交の力」「日本外交の挑戦」など。


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混沌たる世界を問う 3 [スズムシ日記]

「リーマン後」の課題 ビル・エモット氏(ジャーナリスト)

 米大統領選挙のドナルド・トランプの勝利も、英国民投票でのEU離脱も、エスタブリッシュメント(支配層)に対する人々の反発の表れだ。敗れたヒラリー・クリントンは四半世紀も米政治の中心にいて、経済を牛耳るウォール街にも近かった。英国でEU残留を訴えていた人々の多くは、EUと協力関係を築いていたエスタブリッシュメントたちだった。

 こうした反支配層感情の根は、米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発した2008年の世界経済危機にある。エリート層は危機を引き起こし、対応もまずかった。金融機関には公的資金が投入されたが、失業した庶民は十分に救済されなかった。人々に根深い不平等感が生まれ、ポピュリズム(大衆迎合主義)の拡大を招いた。それはフランスなど欧州での極右政党の伸長や国家主義の高まりにも影響している。世界は「2008年後」の課題に向き合っている。

 トランプの勝利は反グローバリズムの反映ではあるが、私は彼が実際に過激な保護主義政策を取ることはないとみている。自由貿易は米国の経済成長に不可欠で景気が低迷すれば支持を失う。TPPからの離脱は、ライバルの中国を利することにもなりかねない。移民規制も選挙で支持された労働者向けパフォーマンス程度に行うだけだろう。移民労働力が減れば企業の不評を買う。

 一方、英国のEU離脱は反グローバリズム現象ではない。離脱派の多くはEUの規制を嫌い英国の「主権回復」を求めつつ、自由貿易で繁栄する伝統的やり方は維持可能と考え投票した。背景には経済危機後に英国が早く回復し、人々がEU加盟に経済的利益を感じていなかったことがある。

 反グローバリズムはある種危険な思想だ。人々の生活は自由貿易や国際的な技術協力などが支えている。国は完全に閉ざせない。一方、(グローバル経済から)取り残された石炭労働者や鉄鋼所作業員をどうするかは大いなる課題だ。

 経済危機を巡る状況は、民主主義の失敗だ。社会の大多数の声が反映されなかった。だが、問題を解決する唯一の望みは民主主義だとも私は信じている。経済は、技術革新などにより長期的には改善するはずだ。ただ、1930年代には世界的な恐慌から保護主義が台頭し、戦争につながった。同じ危険性がないとは言えない。【聞き手・岩佐淳士】=つづく

■人物略歴 Bill Emmott
 1956年ロンドン生まれ。英オックスフォード大卒。英週刊誌「エコノミスト」東京支局長、同誌編集長を経て、2006年に独立。日本のバブル経済の崩壊を予測した「日はまた沈む」(90年)など著書多数。16年に「旭日中綬章」受章。

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